Ibanez VWB-1

どんなベース?
 アース・ウインド&ファイヤーのヴァーダイン・ホワイトのシグネイチャーモデル。2000年製。私(サイトマスター)は他の頁でも触れています通りヴァーダインの大ファン。ゆえに、気に入ろうが入るまいが必ず買うはずのベースでありました。
 これ、いいベースですよ!
 ご存知ヴァーダインは白のCBSフェンダー・ジャズベースに白塗りのピックアップというのが印象深いのですが、実際は案外色々なベースを弾いてまして、ヤマハBBとかクレイマーのアルミネックなんてのも見覚えあります。近年ではピーヴィーのルディ・サーゾ・モデルまでも(案外お似合い)。そんな中でもなぜかヤマハは特に長く使用してきました。来日するとモーションベースとかレンタルしていましたね。現在もライヴでのメインはオレンジのTRB-4です。ところが、ついに出来たシグネイチャーがヤマハではなくIbanezだとは本当に意外でした。新品で約11万円ぐらいの、はっきりいって安物といってよいベースでした。本物は当時の来日公演で数曲弾いたり、ちょっと後のソルトレイクオリンピックの閉会式で弾いてたりしましたね。シグネイチャーモデルのくせにどうやらメインベースじゃないようですけど、弾いている姿はヤマハなんかより似合ってましたよ。
 見た目は同社の普及品売れ筋ラインであるSRシリーズがベースですが、なんとアルダーのスラブボディ&ピックガード付きにアレンジされています!全体にやや重く、小さなくせに弾きごたえのある仕上がりです。なぜかネックが太くプレベっぽい。これにエボニー指板&太低フレット。ピックアップ配置はリバースP&Jとスペクター風。ヴァーダインはまるでPJ配置が好きなようですが、本音は貰えれば何でも良くて、こだわりなんてないんじゃないでしょうか。彼が弾けば彼の音になってしまうのです。あと、クロームのハードウェアも懐古的な演出で似合っています。中でもブリッジはしっかりとして手の当たり感も良く、私個人的にはこのベースで最も好きなパーツです。弦高はどうしてもあまり下げられません。下げると鳴りが気に入らないから(詳しくは次項)。このベースをアイバニーズより依頼され製作したのは松本のフジゲンだそうです。本当にきちんと作られていて、この値段はたいしたもの。きっとソリッド塗装なので木目にこだわる必要が無く、銘木材コストがかかっていないのでしょう。こういうときはいまいちの木材の可能性があるので、ネック反りに気を付けて育てて行かねばなりませんね。

サウンドは?
 これがこのベースの最もすばらしいところです!値段からして期待していなかっただけに驚きの出音。骨太ながらファンキーな粘りがあり良く通ります。1〜2弦のハイフレットでのプリッとした艶っぽさはエボニー指板の響きなのでしょうかね。特筆すべきは、ヴァーダインの音色を非常に研究して作られていることで、最もぶっぱじけた音色といわれる"FACES"のレコードで聴けるあのベースサウンドがトーン操作無しにドンズバ出ます。これはファンじゃないとわからないだろうなぁ。
 回路はアクティヴ。嫌みがないフェンダー的な平民向けサウンドですが、パワーがあり活きが良い。つまり、電気回路以前に鳴りが良いのでしょう。とくに太めのネックの鳴りが。これと高めの弦高による粘りある振動をがっちりブリッジで受け止めている。仮にパッシヴでもかなりいけるでしょう。ブースタースイッチも付いていますが、はっきり言って無くてもよいです。イコライザーすら不要。低音弦はファットで、高音弦はプリプリ。スタッカートを意識すればタイトにキックと絡みます。チョッパー(スラップではない!)はガツンと当たり、プルはグルージー。ピックでのミュート弾きもばっちり決まります。お上品さ、高級感は無理です。あとこれは細かいことですが、フレットノイズが目立たないハイミッドあたりの退いた独特のサウンドなのは案外ありがたいです。私はフレットノイズがフィンガリング技術上弱点でしてね。

 結論。安価な国産品だからといってあなどれない個性ある一本。きっと多くのビギナーが買ったであろう価格帯ですが、猫に小判、このベースの良さは絶対にわからないでしょう。間違ってもロックや、フュージョンなどを演るベースじゃありません。でも、ファンカーならバカにせずに弾いてみれば良さがわかるでしょう。中古発見者はきっと激安なはずなので買うべし。この手の国産ベースはたいして評価されていないに決まっている。超割安。
 私はかっこつけなくてよい時や、野外演奏など環境が酷な時などは、このベースを持っていきます。遠慮無く使えて音も通るんだから信頼感抜群。ただし保守的銘柄派やカリスマブランド好きのバンドメンバーの時はかなりバカにされるので、初めからプレベでも持って行きますが。バンドはまとまりが肝心だからねぇ。

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