Spector NS-2JCM

どんなベース?
 01年製03年入手。弾かないベースを2本売って得た資金で買いました。現行US製ですが、チェコ製と価格があまりかわらないバーゲンセール品でした。これがブラックボディだったら売れ残っていなかったでしょうに。

 まずは色でしょう。これはピーコックブルーという色だそうです。Spectorのサイトや現行カタログにも載っているれっきとしたプロパー配色です。写真じゃわかりにくいのですが、昔のiMacのボンダイブルーに近い。ご覧の通り、確かに美しいっちゃ美しいのですが奇抜な印象でして「こんな色だれが買うんだろ」と思っていたら自分が買ってました(笑)。つや消しで非常に薄く塗装してあり、もし茶色かったらオイル・フィニッシュと見間違えたでしょう。クリアーのオーバーコートはされていませんので、汚れないように気をつけねばなりません。ネック裏もクリアのサテン・フィニッシュで握り心地が気持ち良いです。
 また、Spectorとしては珍しくハードウェアが黒で統一されています。ヘッドの表には同じく黒いつやのないエボニーの突板が貼られ、無駄な色を使わずボディ色をいっそう際だたせています。唯一、ナットだけはブラスの地色です。鋳造ブロックから削りだして作ったようです。NS-5は無垢ブラス角材からの削りだしで、チェコ製は溝まで一体成形の鋳造でしたから、中間ですね。ただ指板面上から弦溝下までの間隔は狭く、ナット弦高は最も低めになっています。おかげでローポジション全域で他のSpectorより低弦高に感じ、弾きやすさに一役買っています。

 木材的には、売っていた店の主がチェックして仕入れたようで、狂いのないしっかりしたものです。特にネック材はかなり良さそうです。厚みは薄めで、ボディとのジョイント面積は広く、プレートなしの5点でボルトオンされています。指板はローズウッドより硬いパーフェローで、特徴的な小さなドット・マークが並びます。ボディの木目は虎目メイプルのセンター・ブックマッチングですが、模様が左右で全く合っていません(汗)。ま、本国定価もべらぼうな物ではないのでこんなもんか。特筆すべきは乾燥性で、驚くほどドライで軽量な材を用いています。充分な自然乾燥木材だそうです。こういう所のクオリティは一番大事ですよね。これぞ本家US製の優位点ではないでしょうか。そのせいか、自分の所有機の中ではもっとも軽いベースです。
 工作技術的には機械設備の進歩により生産国の差が狭まりつつあります。しかし、気配りの上に成り立っている部分は、あいかわらず腕前の違いが表れています。例えば、微塵の歪みも認められないストレートな指板面や、整然かつ深く打ち込まれたフレットを見ると、本家の職人(簡単になれるポジションではない!)の価値がわかります。もちろんこれは最終的に良い音かどうかとは関係が少ない点ではありますが、弾き心地や愛着に影響してくるものです。販売店側もこの辺の調整はできうるかぎりの程度で怠らず商品を店頭に並べて欲しいものですね。おっと話がそれまくりました。

 プリアンプはAguilar OBP-1。02年度のみSpectorに採用されていたもので、03年から不採用となりましたから不評だったのでしょう。それもそのはず、こいつはとにかく強力な個性派で、ミニマム時ですら既にパンチとギラツキが乗ってきますからね。まるで切れ味のある真空管アンプをシミュレートしたような音です。好き嫌いがはっきり分かれるプリだと思います。私?大好きでして。なんせエネルギッシュなプリですから。録音時にはミニマムにしてちょうど良いぐらいなのですが、スタジオリハやライヴなどアンプを轟音で鳴らすときは本当に重宝します。ただし行き過ぎには注意が必要です。トレブルブースターはフルテン厳禁で、フレットがカンカン響きノイズがサーっと耳障りになります。トレブルは上げても半分までで充分。一方、ベースブースターも強力なので半分以上に上げる場合は後に繋ぐあらゆる機器(エフェクター等)をオーバードライブしてしまう危険があることは留意しなければなりません。でもうまく使えば最高のブースターで、どんな轟音ギターが隣にいようと問題なくなります。 

サウンドは?
 音は非常に乾いた軽質な感じで、なんというか、プリプリ(ブリブリではなく)しています。元気ハツラツというほどでもないのですが、どこか活きが良い感じがします。OBP-1の特徴でもありますが、それだけではなくきっと軽いボディの影響でパーフェロー指板のカラッとした明るさが強く表れているのだろうと思います。ボディの生鳴りではチェコ製やスティングレイに負けていますからね、重いエンペラーに近い感じ。ただ、あやつほどフラットでワイドレンジでもない。ドンシャリとも違う。ローはタイトながら輪郭感がなく、ハイが軽やかに浮き出ている感じ。ピックアップがJJ特有のやせ気味で芯だけが通っている音なので、一聴した感じでは重みが足りない感じがします。しかしローミッドの振動はよく締まっており、音程のヌケは良好で、どこかあかぬけた響きがするのです。ミッドは総じて硬さがなく、ハイミッドですら泡がはじるような柔らかい特徴的な響きなので、おかげで苦手なフレットノイズが目立たず、ピッキングを楽しくさせてくれます。HIPSHOT製ブリッジによる悪影響は一切なさそうです。で、これで不満であればOBP-1の暴力的なトーンを上げていけば良いわけです。

 その他に気になる点は、他のSpectorに比べてネックが幅広で薄くできていることです。まるで最近のハイエンドベースのようなグリップ感に近づいています。Spectorらしくない。そのかわりに右手は弾きやすいのが特徴です。

インプレッション目次へもどる