Sonic Marcus Miller's Jazzbass Type

巧くない者が弾くととてもはずかしい一本

 98年製。WEBにて富山の楽器店で見つけたマーカス・ミラー・モデル似の中古。本物のマーカスのはご存知77年製Fender Jazzbassをサドゥスキーがチューンナップしたものですが、そのレプリカはFender USA、Fender Japan、Sadowsky Tokyoあたりでリリースされていますね。いずれにせよ、マーカスモデルレプリカとあっちゃ、恥ずかしくて買えません。相当に巧いか、マーカスバカじゃないと、持っただけで笑われますよ。こういうのって誰が買うんだろうなぁと思っていましたけどね。まさか私が手を出しちゃうとはねぇ…(汗)。
 このベースは国産中古だし、フェンダーブランドではないコピー品なのでいわばニセモノ扱いという理由からでしょうか、実は、めちゃくちゃ安価(とても書けないほど!)だったのです。でもよく見てください、ヘッドにはSonicと入っているではありませんか。こいつは日本の名クラフツマン竹田豊氏によるハンドメイド、Sonicブランドです。私は、StingRayとNS-2のネック周りのリペアで竹田氏に幾度かお世話になっておりましたので、そのクオリティは信頼しきっておりました。機会があればSonicのジャズベの一本でも作ってもらいたいなぁと以前から思っていたのでラッキーです。それにしても珍しいと思います。通常Sonicは価格的には決して高価ではないと思いますが、価値を知らなきゃ中古はこんな値段で売られちゃうのか…。これは明らかに掘り出し物だったと思います。

どんなベース?
 それにしてもマーカスモデルレプリカのコピーなんてイロモノをまさかSonicで作っていたなんて!あったんですねぇ…というか恐らくオーダーメイドじゃないかなと想像します。後日、竹田氏本人に尋ねた際もたぶんそうではないかとのことでした。Sonicが店頭に並んでいることはなかなかなくて、ただでさえ多くはオーダーメイドだと思うんですね。数も少ないでしょう。そんな中でマーカス仕様という超イロモノ…この世に2本とないでしょう。
 実際に入手してみたこのベースもやはり期待通りのつくりでした。これならきっとFender製レプリカよりずっと良くできているんじゃないかと感じます。例えばネックの木目を見ても厳選した材だなとわかるものです。フレットまわりは相変わらず職人芸の領域を感じます。残念ながら、前オーナーがどうやらあまり弾かず弦を張ったまま長年しまい込んでいたのでしょう、よく見るとごくわずかなネック起きが表れていました。そこで再び竹田氏の元へ預け、パーフェクトな状態に直していただきました。ぴかぴかのフレット並びにうっとりします。
 オリジナル同様、プリアンプは初期のバルトリーニTCTが、ブリッジにはバダス2が、ジョイント部にはマイクロティルトアジャスト機構が装備されていました。フェンダータイプのネック+バダス2ってあまり弦高を下げられませんね。マイクロティルトアジャスト機構って使途がよくわからんのですが、とりあえずこれを利用してネック仕込み角をわずかにつけてみましたが、それでも1弦のサドルは最低位置です。今の状態で1弦12フレット上の弦高(すき間)が約1.6〜7mmもあります。しかし、あまり仕込み角をつけるのも不思議と怖いもので、現状で使っていこうと思います。弾きにくさはあまり感じませんし、ハイポジの音程ピッチが大きくズレることもないですから。
 一方、オリジナル同様かどうかわからないのは、まずボディ材。このベースでは軽量のスワンプアッシュ製です。雑誌で見たFender Japan製レプリカも同材でしたので正しいのかな?ただ、軽いのは良いことで、体が疲れませんね。かといってヘッド落ちするようなこともなく、バランスもばっちりです。ホント、使うほどに流石なつくりだと実感します。そして、ピックアップも不明です。外せばわかるかもしれない。

サウンドは?
 メイプル指板というのも影響あるのかもしれませんけど、パッシヴ状態では乾いて輪郭の浮き出たサウンドです。音程が聴き取りやすく、低音のヌケが感じられます。ばりばりとミッドが利いてます。それにしてもオリジナルを知らないので比較はできませんが、TCT搭載のマーカスモデルでこういう音なのかなぁ〜?と思いましたね。CDなどで聴くマーカスのサウンドとはちょっと違う気がします。そんなにドンシャリじゃないし、あんなにキレキレではないですね。マーカスの77年製よりボディが軽いのが影響しているのではないかと思いました。アクティヴ時のTCTはこれまた想像していたよりハイがキンキンしないのである意味ほっとしましたけど、フレットノイズのような硬い響きのポイントにかかりますし、一方ローブーストは深く沈んだ輪郭のはっきりしないポイントにかかりますので、いずれもコントロールは半分ぐらいが限界のような気がします。
 かつて持っていた66年製ジャズベを思い出して比べると、こっちのほうがはるかに鳴りっぷりがよく、前に出るイイ音ですねぇ。あのジャズベはお世辞にも感心する材とは思えなかったからなぁ。第一、ネックのカッチリ感は全然こちらのほうが上です。それはそうと、このベースのスワンプアッシュボディって鳴るねぇ!アルダーみたいなベタな渋さを一切感じさせず、軽やか(低音でこの表現もどうかとは思うのだけれど…)にぶんぶん鳴るのが気持ちいいです。生音でも良く鳴ります。生音のでかいベースって直感的に気分良いモンですからね。

追伸 お嫁に行きました。幸せになるんだよ…。

インプレッション目次へもどる