Spector SB-1

どんなベース?
 05年末、思わぬ縁でなぜか我が手元にやってきた79年製ということらしい古いスペクターです(経緯は長くなるので省略しますが、前オーナーが誰か知ってます)。
どうですか、シェイプがヘンでしょう?スペクターはネッド・スタインバーガーがデザインしたNS-1以降特にNS-2あたりが代表作としてよく知られているのですが、スタインバーガーがデザインする前のかなり初期のモデルがSB-1なのです。ご覧の通り全然洗練されていません(笑)。いや、これでもまだ良くなったほうでして、この一本はほとんどSB-1最終型みたいなものですから少々スマートになっています。もっとホントの初期のSB-1はこれよりいっそうブサイクです。79年というと既にNS-1もとっくに生産されている時代です。そのNS系デザインのいいとこ取りがこのベースの場合ヘッド部分やホーン形状に見て取れます。そう考えると、SB-1って案外長く迷いながら生産された製品みたいですね。ただし、この時期でシリアルナンバーが334ですから、総本数は少ないと思います。まぁ白状しますと私もここまで古いとよく知りません(汗)。あらためてこのベースを見てみると、かなりの変わり種だなと感じます。実は贋物だったりしてね。

 まず、ボディ。ナチュラルなクリアラッカー仕上げで、あちこちにウェザークラックが入っちゃってます。私のStingRayもクラックだらけなんですけど、個人的にはクラックはかえってかっこいいと思います。なんというか、わびさびの域に達しているようで。そんなことより材木が何かさっぱりわかりません。私が入手した店に置かれる以前に長らく置いてあった別の某店ではウォルナットと商品説明されてたのですが、本当かいな?…また鳴るんですこの広いボディが、聴いたことない響きで。このエキゾチックで荒れた響きは何でしょう。

 次に、ネック。極厚のバーズアイメイプルにローズウッド指板貼りです。これだけ厚いと相当丈夫そうです。握り甲斐があります。ラッカーもしっかり塗られて手にすいつく感じですが、ここもクラックだらけです。このネックは硬く引き締まってて全然鳴りません。その原因じゃないとは思いますが、どうやらリフレットしたばかりのようでオリジナル状態ではないような。だってフレットが新品同様でした。79年製で新品同様はないでしょ。でもおかげで指板調整されたようなほぼまっすぐな状態ですから古いベースだと思えばむしろありがたい。いや、これでもしオリジナルだとしたら奇跡的な状態ですよ。木材の強度としては年経により安定してますから今後も安心して使えそうです。

 ハードウェアは、ペグがシャーラー、ブリッジはバダスです。バダスって弦高下げられませんよね。これもザグって落とし込みされてはいますが、ほんの少しだけですので、コマを最低位にしても弦高があまり下げられません。せっかくネックはまっすぐなのになぁ…この年代のベースはローアクションなんて考慮されていない作りなのです。高めの弦高を気合いで弾き倒すものなのですな。まぁでもさほど弾きにくさは感じません。

 エレクトロニクスですが、ピックアップは昔のディマジオPタイプピックアップ。ノンリバースマウント。コントロールは1vol.+2toneで、シリーズ/パラレル切り替えスイッチとアクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ(だと思える)が付いています。サーキットはよくわからないものが内蔵されていますが、たぶんHaz Lab.あたりじゃないかと思います。見ためもHaz臭い感じだし、効き方がプリクレNS-2と似ているからです。

サウンドは?
 個性的です。バッと音の固まりが一丸となってはじけ出る感じはPタイプならではなのですが、フェンダーのPとは違い、昔のディマジオのPタイプはわざとらしくて(笑)とにかくイナタイ。PUの段階で既にコンプのかかったような…というか腰にくる音ですな。昔のウィル・リーとかフレディワシントン臭い(でもあの人はこんなの弾いてませんが)。とりあえず、なにも考えずパッシヴシリーズにしてしまえば図太いベースに。リッチな重低音もブリリアントな超高域も全然無いんだけれど欲しい音域のパワーがごっつく凝縮されて、シリーズではもぅ何が来ようが負けない感じ。間違ってアクティヴシリーズにしようものならまさにコングです(笑)パラレルにしたって決して上品にはならず無骨かつ黒っぽいニュアンスが常にありますね。全然スマートじゃない。雑味があって、本当のプレベのようなシンプルな音とはひと味違うんだけど、おかげで存在感に関しては文句なし。バラードでこれ弾いたら嫌〜な顔されそう(笑)。
 アクティヴ/パッシヴの切り替えがありますが、これはニュートラル状態でオンオフでの音量差が大きくないのでとても使いやすいです。アクティヴでフルブースト時は当然パッシヴとは大きな音量差が出ます。でもアクティヴパラレルとパッシヴシリーズが似たような音量ですので、個人的にはパッシヴシリーズばかり使ってしまいます。その時の音が一番好きですね。このプリアンプは、トレブルはピンッとしてていいんだけど、バスはやや緩くてたっぷりめですので、なるべくそんな大味なローではなく締まったローを鳴らしたいものですからね。
 この回路の問題をあげるとしたらノイズぐらいです。キャビティ内には導電塗装など無く、ほとんどシールド効果はないみたいです。この点に関してはいつものリペアマンに相談してみようと思ってます。また4弦から1弦にいくほどに音が細くなりますのでピックアップも問題あるかもしれません。

 それにしてもこの図太さはクセになりますな。ちょっと手強いけど面白さが勝ります。ここ数年まともな(?)サウンドのベースばかり弾き続けてきましたので、非常に新鮮な感じがします。シェイプも愛嬌があるし、こんなに弾いてて楽しいベースはなかったですね。しばらく色々な出番で無理矢理試してみたくなります。

後日談1
 いつものリペアマンに預けてきました。依頼内容は、ノイズ対策と、少々のローアクション加工、ピックアップの高さ調整フォーム交換、…それぐらいかな。ネックはなかなか良いとのことですがリフレットされている技術はいまいちらしく、その辺も研磨して修正してくれるそうです。仕上がりがとっても楽しみです。なお、ついでにボディ材について意見を伺ったところ「たぶんウォルナットの一種じゃないかなぁ…」とのことでした。
 そのリペア後はノイズはほとんど出なくなりました。

後日談2
 SFCJメンバーのベースマンさんの情報提供なのですが、ebayにこのベースのそっくりさんが出品されてました。シリアルはなんと1番違いの335!でも、これだと77年製ということなんですが…私のベースの年とどっちが正しい情報なのかなぁ?この出品者を信用していいのかどうか。フルオリだと書いてあるんだけど、トラスロッドカバーとキャビティカバーは私のと材質等が全く異なるし、ブリッジ裏の謎のカバーらしき物も私のベースには無いんだよなぁ…(一見バッテリーケースのようでもあるが、Spectorであの位置に独立してバッテリーを収納するモデルは無かったような)。

(画像は勝手に借用。コメントは超訳気味で恐縮ですがこんな…)
私は伝説のセッションプレーヤーである良き友人に頼まれこのベースをリストしている。これは昔のブルックリンメイドのSpector SB-1で、Dimarzio製P-Bassスタイルのピックアップを搭載している…シリアルは335である。このベースは完全にオリジナルであり、すばらしい形である。弾き心地はバターのごとし(…なんじゃいそりゃ?)、エクセレントなサウンドだ。ヘッドストックの裏に沿ってかすかな非常に細いひびがあり、ひびはネックの裏まで伸びてて…5インチぐらいある。構造的には問題ないものだが、なんせ非常にコレクタブルな楽器であるのでその点はきちんと述べておくべきだと、私は思ったのだっ。Gibsonのギグバッグ入りである。このベースの重さは丁度9.4ポンドだった。私のデジタルスケールによるとね。このオークションを見てくれて感謝する。送料は購入者負担で$40.00…配送は米国内のみに限る。

後日談3
 弦を色々と交換して試しています。ここ1年ほどトマスティックのフラットワウンドを張っていましたが、決して相性良いとは言えません。これは優秀な弦ですが、にしてはどうも納得いく音には育ちませんでした。現在はディーンマークレーSR2000MLで様子を見ています。これはNS-2に張ってあった弦を外したものを再利用した言わば「お古」なだけで、これぞと選んで張ったわけではありませんが、たまたまにしては悪くありません。

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