Alleva-Coppolo LG5

どんなベース?
 どう見ても、なにもかも、新鮮な印象はないベースです。なによりこの音の渋いこと!しかし、これがれっきとした最近の製品なのですから驚かされます。結局いまだにメインストリームを外れることがない昔の一番良かった頃の古いベースのトーン。それを現代の職人がアクティヴ5弦で再現した、そんなベースなのです。だからある意味、非常に現代的なベースだと思います。

 ボディはアルダー。いわゆるごく普通のジャズベーススタイルのボディです。目を引くところがない分、つやつやしたポリのピアノブラック塗装が綺麗で印象に残ります。ピックガードと指板が赤茶色のトーンなので、全体の配色がまとまっていますね。もっとも中古なので傷がありパーフェクトな美しさはありません。
 このボディ、なんだかとっても軽く感じるんですよ。ところが全体の重量を量ると4.58kgと平均的でべつに軽いと呼べるほどではないのです。でも持ってみても抱えてみても印象は「軽い!」のです。不思議なベースだと思いました。実際軽くはないだけのことはありヘッド落ちもなくバランスはすこぶる良好です。

 ネックはメイプル1ピース。プラスチックプレートを挟んだスチールプレート4点留めとなってます。やや幅広ですが厚みはかなり薄いです。こういうところはやはり現代のベースなんだなと思いました。塗装も薄く、色も薄い飴色で半艶。よくあるサテンフィニッシュみたいなさらさらではなくすべすべの手触り。木取りは柾目ではなく板目なのですがその木目も詰まっているようには見えず。総じてまるでツゲのハンコのような木材です(笑)。相当エイジングされた材を使用しているとのことです。硬質な剛性感のようなものは感じられませんが、力を掛けてみても微動だにせずかなり丈夫そうな感じです。
 貼られている指板は木目の美しいアフリカンローズウッド。又の名はブビンガ。あまり平面的ではなくRが感じられるタイプです。一応、スラブ貼りですがFoderaEmperor-5のハカランダ指板の様なリッチな厚さではありません。フレットは中古にしてはたいして摩耗してない状態でした。

 ヘッドが一番特徴的な部分でしょう。このユニークな形状にブランドの意匠を見てとれます。賛否分かれるデザインかも知れません。私は靴下型ヘッドと呼んでましたが、ある友人はムーミンと呼んでました(笑)。言い得て妙ですね。ぼてっと大ぶりにすることで共振しにくいよう考えられたデザインかもしれませんね。

 ハードウェアはヒップショット製で、ヘッドデザインと並んで特徴的な部分です。特にペグがパドルペグなのです。Fenderの66年に採用されたあの形のまま、5弦用に小振りにデザインされたペグが直列に5個並びます。独特な形状のヘッドに良く似合っていると私は思います。軽量仕様なのでヘッド落ち対策にも効果があるのでしょう。

 エレクトロニクスですが、ピックアップはAlleva-Coppoloオリジナル。コントロールは2vol.+2toneです。マスタートーンがないタイプで最近のAlleva-Coppoloにはあまり見られない仕様ですね。
 サーキットはやはりよくわからないブラックボックス風のものが内蔵されていますがどうやらブーストオンリーのようです。バスは軽めに掛けると腰をゆさぶるローがでますが、半分を超えて回すと強力すぎますね。トレブルもこのキャラにはあまり必要ないヘンなハイが上がりますし、いずれにせよトーンは0のほうが良いベースです。むしろこのベースに無いマスタートーンのほうが便利に使えたような気がします。マスタートーンはカットオンリーなのでパッシブ的な扱いが可能ですからね。

サウンドは?
 これがこのベースの一番の特徴と言えるでしょう。アクティヴなのに地味なアルダー製パッシヴベースの音よう…で片付けてはいけません。アルダーのベースなら何本も経験ありますが、ここまで味わい深く渋みのある音は珍しいと思います。意地悪に言えば露骨と言えるかも(笑)。私のLAKLAND4-94Classicもアクティヴながらなかなか見事なアルダーパッシヴ風の音なのですがそれより、さらに低音がぶ厚く、さらに高音は聞こえず、さらにレトロな音です。私がいつもイコライジングして作りたい音に近い音がトーン0の状態で出てくるのには感動さえ覚えました。歌モノのバックなどには特に合うと思います。
 ある人はこれを「最もオーソドックスなベースらしい音」と表現するかもしれませんが、私には極僅かな雑味あるいは毒味のようなものを感じます。そこがLAKLAND4-94ClassicにはないAlleva-Coppoloの個性のように思いました。例えるならLAKLAND4-94Classicが「さび抜きの寿司」の如しであればAlleva-Coppoloは「さびの利いた寿司」の如し(笑)、さらに例えるならFoderaが「山の手」の音であればAlleva-Coppoloは「下町」の音のようなイメージを持ちました。現代最先端でこの音を狙って送り出してくるのだからユニークなメーカーであるとも言えますが、実は最もニーズがある音でもあるのだと思います。コンディションに神経を遣いながらオールドフェンダーを弾かずとも、現行アクティヴでもその代用として立派に通用する物があるんですよと、言いたげなね。
 現在、弦は購入時に新品のDRのニッケル弦SUNBEAMを張ってもらったままです。私はステンレス派ですが、このベースにはニッケルの方がステンレスより合うでしょうね。たぶんghs BOOMERSあたりも合いそうです。もちろんまだ他の弦を試してないのですが、相性は良い感じ。なんら不満のない弦です。

後日談
 SLEEK ELITEさんへ調整に出してみました。買ってすぐのリペアマンによる調整は毎度恒例行事となっておりますが、今回はロボットに手伝ってもらいました(笑)。PLEKというドイツ製の現代的なすごい機械があるんですよ。指板面をスキャンしてデータ分析し問題点を正確に割り出した上でシミュレートした改善策をもとにフレット研磨やナット溝切を精密加工してくれる機械です。経験とか勘じゃなくて科学的な対処なんですね。特定箇所のバズが幾つか出ていたのですが、スキャン後モニターには「ここがびびるはずだけど」って分析結果がグラフィカルに表示され、それらが全て見事に私の指摘したバズ箇所と一致したのでそれだけで驚いてしまいました。それらのバスが出ないようにするためにはこのフレットをこれぐらい削れと計算されて、ギーっと加工され、およそ1時間半程度で仕上がり。果たしてバズは消えました(感涙)。楽器業界の進歩を初めて感じましたね。今後は調整程度ならわざわざ多忙なリペアマンの手を煩わすまでもないなぁと思ってしまいましたね。

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