Ken Smith Design Brooklyn BRP665

どんなベース?
 2013年製の、わりと新しい楽器です。かねてよりいつかは欲しいと思っていた5弦プレベです。
 いくら欲しいとは思っていても、5弦ベースでPピックアップを1つだけマウントした(PJではない、1ハムでもない)純粋なプレベタイプを探してみると、製作例が少ないため選択肢があまりありません。
 プレベとはそもそもコンサバな存在ですし、またその5弦ともなるとスプリットのピックアップを5という奇数で分けねばならないという無茶がつきまとうからでしょうか。その少ない中で、いいな!これだ!と思える正統派には当然なかなか出会えず、本家フェンダーの現行品ですら、普及クラスのプレベに弦を一本ただ増やしただけにしか見えないためイマイチ興味が湧きませんでした。心底欲しいと思えるのはコッポロ製ぐらいです。しかしあれは高くておいそれとは買えませんので、それより安く(でも別に買いやすい価格じゃない)でもしっかりこだわって製作されているフリーダム製をいつか買えたらいいなぁ、と考えておりました。

 そんなある日、この中古ベースが売りに出されているのをたまたま見つけました。
「ケンスミスデザインってなんだ? ケンスミスじゃないのか? 」
恥ずかしながら私は不勉強で全く知らないブランドでした。しかし調べてみるとどうやら信頼できる逸品らしいと知りました。
 売り物はコンディションに問題ないものの、ホーン部分という一番目立つ箇所に大きな傷があるせいか、また委託販売ということもあって、新品時の半額以下。新品フリーダムより10万円も安いではないですか! これは滅多にない出物と私は確信し、平日に仕事の合間を縫ってすぐ買いに行きました。

 ケンスミスデザインのブルックリンというこのシリーズは、名こそケンスミスとありますが実質的にはその代理店スリークエリートの広瀬氏の作品と言えるものでしょう。ケンスミスにはないフェンダースタイルのベースを日本国内で生産したシリーズなのですが、ネック材用と指板材用にのみ米国ケンスミスから支給された優れたトーンウッドを用いていることが最大のセールスポイントでした。
 高品質のメイプル1pにマッカーサーエボニーを貼ったこのネックはしっかりしていまして、日々の気候にも変化することなく安定しています。
 しかもシェイプは絶妙な薄さでなんとも握りやすい。おかげでプレベとは思えないほどの弾きやすさです。左手だけはモダンなハイエンドの5弦ベースを弾いているような感覚なのです。私はプレベの音は欲しかったのですがプレベの弾き心地は求めていませんでしたので、かえってありがたい特徴なのです。
 先に正統派と述べましたが、残念なことにボディはよく見るとプレベの形状をしていません。ジャズべに近いいわゆるオフセットボディになっています。そのシルエットに合わせた形のピックガードが付けられていますから、一応プレベ様式のピックガードではありますがジャック周りはなんとも微妙なカーブとなっています。唯一惜しい部分だとは思いますが、ヘッド形状はフェンダーとはどうせかけ離れていますしね、ボディだけ正統派デザインにこだわっても仕方ないと思うようにしております。

サウンドは?
 ピックアップは5弦プレベ用として定評のあるノードストランド製をマウント。ボディには裏蓋があるにも関わらず中身空っぽのパッシブ仕様です。アルダーボディの音質と相まってサウンドは見事に正統派です。5弦プレベにおいて一番重要なことは実はここなんです。この音が出る5弦が欲しかったのですよ!

 造りが良くてパフォーマンスも文句ないのに、傷と中古特価のおかげで気兼ねなく付き合えるのがかえって良いです。高級品のように神経質に取り扱わなくても済みますからね(もちろん雑に扱ったりはしませんよ)。毎日出しっぱなしにしてプレベの音をすぐ楽しめるのがとても魅力の一本です。

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