Custom Audio Tokaichi KN-Boost

文鳥増幅?ってなにこれ?いや、通常はこんな表装のエフェクターじゃないですからご安心ください。

これは広島のエフェクターメーカーCustom Audio Tokaichiのオリジナル商品KN-Boostです。なんとベース用ブースターです。
特注で、会社のアイドル係長ピーちゃんのイメージで装って頂きました。製作者のT'sさん、無茶きいてくれてありがとうございます。
塗装もノブも白、LEDはピンク、という徹底配色。
LEDは点灯するとピンクというより紫っぽくて怪しさ満点(笑)。
もったいなくて使えない!

ちなみに元となった写真はこれ。

私もよくやるよね(汗)。


配線もキレイです。こういう製品が少ないんだ。

さて、
ベース用ブースターと書きましたが、ベースブースターではありません。
ベースブースターみたいに低音をブーストするものではない、純粋に音量だけを上げるブースターのベース用です。
ギター用と何が違うか?というと、ハイカットするつまみが付いています。その理由については後述しますが詳しくはT'sさんご自身のサイトをご参照ください。
で、マスターボリュームがありますので、最終的な音量をバイパス時と同じ音量に合わせることが出来ます。ここが重要で、これにより、一種のプリアンプ的な使い方が可能になります。ベーシストは誰もが間奏ソロを弾くとは限りません。ブースターをバッキングで掛けっぱなしにする用途を考慮してあるわけです。実に良く考えられています。
そういえば既製品ではXOTICのベース用ブースターも2種類ほど市販されてますけど、使い方は明らかにプリアンプ的としか思えませんからね。その方向で作らないとニーズが少ないでしょうね。

肝心の音について。

まず、純粋にブースターとして。普通の1ノブのブースターのようにブーストだけして使用する使い方ですね。その音のインプレは略しますが完全なクリーンブーストが可能です。音質を変えずに音量だけ上げたいという要望には見事に応えるでしょう。

次に、ブーストした後にマスターボリュームで元の音量に戻して使う方法です。これは正直なところ当初ピンと来ませんでした。上げた音量をマスターでカットして出力しても理屈ではバイパスと同じことではないか?と思ったからです。
ところが、出てくる音は同じではなかったですね。
これにはさらに3つの使い方があります。(以下は使うベースのパワーによりそれぞれブーストノブの位置が前後します)
【1】控えめにブーストしてマスターで元の音量に戻して使う方法。ブーストは12時以下です。
出る音量を同じにしても、元の音より安定してムラが減り且つふくよかな空気感のある音になりました。音の各要素はすべてが均等にブーストアンドカットされているわけではなく、小さな響きは明確にはっきり再生され、大きな低音は力を溜め込んだような音になりますね。痩せてた部分はふっくらと太くなりますし、平面的だった音像は前に現れますね。イイですよ。
【2】大胆にブーストしてマスターで元の音量に戻して使う方法。ブーストは1時あたりです。マスターはかなり下げることになります。
これはコンプ好きな私を最もくすぐる使い方です。極端なことを言うとコンプをつながなくてもこれだけをつないで弾いたりしてます。この一言の意味のすごさ、私のことを知る方ならおわかりいただけると思います。
つまりね、コンプがなくても似た音になるんですよ。この時の私の印象は、名前こそブースターですが、手動調整コンプです。コンプのかかりが自動的じゃないだけ。なんというか、出力全部に強めにコンプがかかりっぱなし状態のような面白いペダルです。いや、コンプにおいてもこんなバランスの良い気持ちいい圧縮音を演出できる製品は少ないです。
【3】言わずと知れた歪みエフェクターとして使う方法。ブーストは2時以上です。
歪みについては個人的に語る資格がないと思ってはいますが、例えベース用に特化していても歪みエフェクターの多くは概ねROCKな歪みになるものです。しかし、KN-Boostの場合、昔のハードでダークなR&Bなどで耳にすることが出来る土臭い歪みに近い印象があります。例えるならCURTIS MAYFIELDの音源などで聴けるようなあの歪んだベースですよ。あ、いや、ちゃんとROCKにはフィットします。それは大丈夫です。こっちからそっちは出来るのです。逆は出来るエフェクターって少ないんです。ギターアンプ的な模したオーバードライブじゃない。ファズくさい(これが多い)のも違う。

私もベースにブースターって使ったことなかったから試す前はピンと来なかったんですけど、なるほどなかなか便利なモノです。今までブースターという名前に惑わされてました。
まぁ最も簡潔に言ってしまえば良い音になる装置ってところでしょうか。

音色に関しては先述の歪ませる使い方以外はほとんど変化はないです。これにはちょっとノウハウがあるそうで、乱暴に言っちゃうと少しハイを減らしているのが聴感上ほとんど音色変化の無いように聴ける秘密だそうです。KN-Boostのようにマスターボリュームでカットしないとすれば、普通は大音量になるほど高音が一層でかく強調して聴こえるのが通常のブースターの特性です。そこで、この製品にはハイカットのノブが付いていて聴感上ちょうどよい音色に揃えることが出来るのです。ハイカットの周波数についてもプロベーシストによるテストを繰り返してベストなポイントを探し出したそうですから、実践向きですね。
ところが、その意味だけで言えばまともにブースターだけをかければ音色変化があるはずですが、不思議なことにT'sさんの作品に関してはハイカットノブをいじらなくてもハイの強調はあまり感じません。せっかくそのためのハイカットが付いているのにね(笑)。だからハイカットは結果的に、積極的にモコッた音色へ変える役割になってしまいます。高音出過ぎでカットするより、気持ちいい音にするために調整しています。また、普通のハイカットは聴き難いこもった音になるものですが、フルカットしても輪郭は失われずなんともいえないユニークな聴きやすいもっさり音になるところが一番の驚きであります。さぞかし研究して開発されたのでしょう。

アクティブベースでのオーバーロードに関しては、バルのNTMBのミドルを250にセットすると1/2ブーストが限界でした。バスも然りです。意地悪なテストです(笑)。そんなパワーの強大なベースを使いたくば、先にコンプを繋いでパワーを抑えた信号を送る作戦しかないかな。でもそこまでしてブースターを使う意味はないと思いますね。
正しくは、真にパワーのあるベースならブースターというものは要らないというのが話の順序でしょう。
この他では、従来ならアギュラーOBP-1でテストをするのが常でしたけど、今、私の手元にはアギュラーは一本もありません。たぶんバスを2/3ブーストぐらいまでは大丈夫だろうと想像します。それ以上=フルテン派ならやはりブースターを加える必要はないですよ。ブースターを二重にかけるようなものだからです。むしろひとつでも中間ロスを減らすべきでしょう。
現在メインのRepRo SR-1 V-GAではトレブルバスフルテンにしても歪みは一切生じませんね。RepRoは大変音量のあるプリですけど、不必要な贅肉/脂肪的パワーは無いので合っているようです。同様に古いHAZ製プリのFoderaでもチェックしましたがこれは相性抜群です。パワーの大きくないベースにおいて最大の威力を発揮するエフェクターだと感じました。

バッテリーの保ちに関してはなかなか優秀です。もっと減りが早いと思ってましたが、マスターで絞ってしまう使い方をしているからだろうかと思ったりします。

さて最後に、ブースターの効能って、コンプ感うんぬん言う以前に、情報密度の向上にあると思います。目的としては安定したコクを必要とするときなどでしょう。ダイナミクスを聴かせる場合には不向きだと思いますので、わかったうえで使うべきです。ちょうど濃縮果汁還元の安定した生産性の理屈です。搾りたて生果汁のほうが生々しさは味わえますが、そういうジュースは当たりはずれの差が大きく鮮度の影響も大きく、商品としては事実めずらしいですよね。
例えば音楽で言えばサンプリングレートを上げて制作して最終的にはCDを作るのに似ているのかなと思います。
またはアナログであるフィルムで撮った写真をスキャナーで取り込んで紙にプリントアウトするのにも似ているかもしれません。等倍で取り込んで等倍でプリントするのと、でっかく高解像度で取り込んで元のサイズに縮小プリントするのとでは、違いますもんね。

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